○昨日、アフリカ料理を食べにアフリカ料理店へ行った。
入り口には「太鼓を叩きながらアフリカ料理を食べよう!」と書いてある。
店内は異空間でカウンター席のみ、かなり入りづらい。
民族衣装に身を包んだ恰幅のいいアフリカンママさんが笑顔で出迎えた。
いや!?違った。
話してるのはちゃんとした日本語で、照明のせいで黒く見えたが、
よく見れば日本人だ。
人は成り切ると人種をも超越するのね。
セネガル料理の「羊の煮込みとクスクス」を頼む。
羊の骨付き肉シチューがクスクス掛けられたものが出てくる。
素朴で癖のない味だが、食べたことのない複雑な味もする。
ウマイッ!
「この料理はセネガルの一般の家庭料理で、本当は手で食べるのよ。」
「熱いけどね。」とママさんが教えてくれる。
それは是非やってみようと、フィンガーボールとナプキンを出してもらい、
素手で食ってみる。
確かに熱いがこの方が確かに雰囲気が出るし、
なんかイイ。
骨を掴み、中の骨髄を吸う。
骨のストローからゼリーが「トゥルン」っと出てくる、
これがまた濃厚でうまい。
向こうでは、この骨随を家族で取り合うほど人気だそうだ。
インド風に手先を使って食べていたが、
アフリカの人たちは手の平も使い握るようにして食べるらしい。
油の多い肉などは、握りつぶして中の油を絞り出してから食べるそうだ。
それはちょっと食べづらいだろうし、何か嫌なのでしなかった。
この間テレビで、カリブ海の人だったか?にレポーターが、
「どうして手で食べるの?」と聞くと
「この方がおいしいから。」と答えていた。
その話をママさんに話すと、
「そうなのよねぇ〜。」と笑顔。
「でもね、あたしも聞いたことあるのよ。」
「アフリカの人たちに聞いてみると、スプーンとかは他の人たちも使うけど、
手っていうのは自分のモノで、自分しか使わないから、
スプーンより清潔だって言うのよ。」
「だから手の方がいいんだって。」
ん〜、そりゃどうなの?と思う。
夜9時半頃、満員電車に乗って家路へと向かう。
制服姿のカワイイ女子高生が二人、同じドアから乗った。
「うわ〜、あたしピサのシャトーみたいになってる。」
「なにそれ?」
「ピサの斜塔知らない? 傾いてるの。」
「へぇ〜そうなの?」
「きゃっきゃっ。」
ギュウギュウの満員電車の中、そんな微笑ましい?会話を、
何となく聞き耳を立てて聞いていた。
すると突然、その女子高生の声がドスの効いた感じに変わった。
「てめー。」
「おいっ!!」
「なに触ってんだよー!」
斜め横にいた男に、向かって言っている。
「・・・。」
「なにが?」
「なにがじゃね〜よっ!!」
「触っただろーっ!」
「次の駅で一緒に降りろ。」
「してねーよ・・・。」
小さな声で反論してるのは、20才ちょっとの大学生風の男。
いわゆるキモイ系ではないが、色白で弱そうな男だ。
小さな女子高生二人はそいつの正面に立ちはだかり、凄い勢いで捲し立てる。
「ふざけんなよーっ!」
「触ってっから、その手を掴んだんだよ。」
「そしたらオメーだろーが!」
「・・・・。」
「いや、これ(荷物)だろ?」
「あ”〜!?、だから触ってる手を掴んだら、
オメーの手だったって言ってんだろーがっ!」
「オレじゃね〜ョ・・・。」
可愛かった女子高生は上目使いであるが、凄い目で男を睨み付けている。
『あずみ』の上戸彩より一万倍恐い・・・。
「次の駅で降りろよーっ!」
「・・・やってねぇ〜よ。」
「あ”ー、やってんだろーが!!」
「オマエの手だっただろー!」
「ざけんじゃねーよ!」
すると、その戦いを間近で見ていた若者が、
「まぁまぁ、降りて駅員に説明すればいいじゃない。」
と、やや同情ぎみに男に言う。
「そうだろ! とりあえず、降りゃーいいだろうがっ!」
「・・・・。」
「シュー。」電車が停まる。
「降りるぞ!来い!!」
「いやぁ、・・・。」
大量に降りる乗客の中、女子高生は男を掴み、その手でホームに引きづり出す。
残った乗客たちは、目の前で起きた出来事に緊張が解けたのか、
クスクス笑い出したりする。
自分は呆然と、ホームに流れ出た降車客たちの波を見送っていた。
「あーーーっ!」「おいっ!!」
さっきの女子高生の声がする。
「シューッ」
ドアが閉まり、電車は走り出した。
人込みで何も分からなかったが、多分男は逃げたのだろう。
しばらくしてから、考える。
おい? 自分は大人の男性として、すぐ近くにいたアノ男を捕まえて
駅員の所に突き出すべきだったんじゃないか?
冷静になれば、華奢な女子高生が男を掴えきれる訳はないよなぁ。
口論中は、そうは思えなかったんだけど・・・。
でも、突然の事で正義感も勇気もクソも無かったなぁ〜。
ま、今更言い訳を言っても、
もう手遅れである。